牧瀬里穂 出演 JR東海 CM
クリスマス・エクスプレス 1分版
「ジングルベルを鳴らすのは、帰って来るあなたです」
CM曲:”クリスマス・イブ” by 山下達郎
JR東海クリスマス・エクスプレスの2代目ヒロインの牧瀬里穂さん(当時17歳)が、彼氏に会う為に駅へと急ぎ、改札を出ようとする彼氏を見つけ、柱の後ろに隠れて高まる胸の鼓動を抑えて瞳を閉じて彼氏を待ち伏せしている1989年の長編CM 1分版です。
牧瀬里穂さんは丁度この年1989年にデビュー(当時17歳)し、まだそれほど有名では無く、このCM出演をきっかけに、全国的に人気が高まり女優の道を駆け上がっていった感があります。
また、当時大ヒットした山下達郎の曲”クリスマスイブ”が長く聴ける事で、このロングバージョンは人気が高かったと記憶しています。まだまだ音楽は手軽でも無く、ましてやFM放送等を除き無料で聴けない時代だったので、街がざわめきだすクリスマス前のこの季節の短い期間だけテレビから無料で流れる大ヒット音楽が、人気CMに多大な影響を与えていました。
また、”クリスマス・イブ”は発売こそ1983年でしたが、最も売り上げ枚数が多かったのはこのCMと同じ1989年で、この年は初めてシングルチャート1位になり、発売から1位までの最長記録も達成しています。これは、このCMとCM曲”クリスマス・イブ”の繋がりがいかに大きかったかを如実に現す結果です。
つまり、このCMは、山下達郎”クリスマス・イブ”の実質的に代表的なPV(MV)であった事で、多くの人に感動を与え、今日現在も懐かしいCMランキングなどでも1位になるほどの人気を維持し続けていると言う事です。
クリスマス・エクスプレスのCMは深津絵里さんのCMが第1作目なのですが、この牧瀬里穂さんのCMの完成度の高さで当時、こちらが代表作になってしまった感があります。
追記:2019/12/20
ネットでこのCMの考察記事(というか読み物ですね)が話題ですが、個人的には、柱の影に隠れたのは、ドキドキ感が高まってひとまず落ち着く為であって、隠れて驚かそうでは無いと思ってます。驚かすつもりなら、目につくような所に出てキョロキョロ探さず、それこそ最初から柱の影に隠れて探す筈です。目いっぱいおしゃれしてきた自分を見てどう思うだろうと言う思いなどもあって興奮したのかもしれません。ただ、この場面だけを切り取れば、初めての告白のシーンのようにも見えます。
駅に迎えに行く約束はしておらず、突然のサプライズという見方もできますが、待ち合わせか待ち伏せ(サプライズ)かはかなり微妙と考察します。なぜなら、この1分版を見る限り、彼氏役の男性が改札を出て、最後の一瞬周りを誰かを探すように首を横に向けるシーンもあり、来る事を知っていた、即ち待ち合わせの可能性があるのです。
また、二人の関係も、これから売り出すまだ17歳の牧瀬里穂さんなので、彼氏彼女でかなりラブラブな関係という設定では無く(事務所がOKしないでしょう)、例えば先輩後輩の間柄でまだ付き合ってないような爽やかな恋愛の設定の可能性も考えられます。もしこれが待ち合わせであって、相手が熱愛中の彼女の設定ならもっと男性も嬉しそうに駅のホームを歩く筈です。
あと、手に持ったプレゼントは何かですが、落としても割れない物で女性が片手で簡単に拾い上げれる軽さで、このCMのテーマが「ジングルベルを鳴らすのは、帰って来るあなたです」なので、プレゼントにベルがついていて、当時は部屋にポスターを貼るのが流行っていたので、クリスマスのポスター辺りの可能性もありそうです。乳白濁色がやや混じった緑色の半透明のシート状のラッピングは、服の赤にあわせたクリスマスカラーになっています。
このCMのストーリーで最も注目すべきは「ジングルベルを鳴らすのは、帰って来るあなたです」のテーマの意味ですが、「ベルを鳴らす」は結婚を決意するケースなどに使われがちですが、この二人は結婚間近な関係には見え難い(ただでさえ結婚しない女性が増えたバブル期なので17歳では結婚など意識しません)ので、二人の本気の恋の始まり辺りではないかな?と言う気がします。そう考えると、このCM全体のストーリーの解釈が楽になるのではないでしょうか。
あと、余談ですが、CMで隠れた柱は実際には存在しておらず、CMの為に作られたと聞いています。
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山下達郎の”クリスマス・イブ”を使ったクリスマスのカップルや恋人たちが登場するCMは、深津絵里 JR東海,広瀬すず ソフトバンク,新垣結衣 モバゲー,玉城ティナ&吉沢亮 カシオ など数多く作られていますが、その中でも今も人気が高いのは、この牧瀬里穂出演のJR東海のCMです。その人気の理由は、ラブラブなカップルの物語では無く、老若男女を問わず、誰もが微笑ましく素敵に思える爽やかな恋のプロローグ的な物語であったからなのかもしれません。
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追記:2019/12/24
本日 クリスマス・イブと言う事で、こちらの1分版の再生回数がやや伸びてますので、もう少しだけ考察の追記を時代背景と共に紹介します。
このCMが放送された1989年は昭和64年(平成元年)はバブル景気の真っただ中(因みに私はとっくに社会人で、パソコン通信のネットワーカーとしてかなりハマってました)で、ロマンチックなトレンディードラマ全盛時代で恋愛観も今とは随分違っていて、ネットも無くケータイすら普及してなく、アイテムはポケベル全盛で、男女を問わず、恋愛や異性に関しての知識も浅く、10代後半から20代の女の子のバイブルはファッション雑誌,女性雑誌、或いは少女コミック(女性コミックは存在してなかったように思います)で、このCMで牧瀬里穂が演じた17歳の女の子辺りだと、”恋に恋する乙女”が一般的であったと思います。
牧瀬里穂さんが着ている服は確かにバブリーなのですが、高級ブランドの服もさほど特別でも無く、この服装でも、17歳なら普段は高校生、或いは女子高生なので、校則や親に恋愛禁止とされていた可能性もあります。(ただ、男女交際は禁止でも告白までは禁止されてませんので、更に昔はラブレターなどが流行った訳で)
端折りましたが、以上のように時代背景と共に考えた場合、当時の17歳の女の子の恋愛のシーンなら、深い付き合いをしている彼氏彼女と言う設定よりも、「好き」と告白するのがいっぱいいっぱいでドキドキしている女子辺りであるほうが、視聴者にも共感を呼び、そこにロマンチックな恋の物語があったのではないかなと言う気がします。
Youtube
牧瀬里穂 JR東海 CM
「ジングルベルを鳴らすのは、帰って来るあなたです」